区分所有法の改正(案)について


マンション管理センター「メールマガジン(20242月)」より

 

法務大臣の諮問機関である法制審議会の区分所有法制部会は、さる1月16日に『区分所有法制の改正に関する要綱案』を決定しました。

 内容は、(1)区分所有建物の管理の円滑化、(2)区分所有建物の再生の円滑化、(3)団地の管理・再生の円滑化、(4)被災区分所有建物の再生の円滑化、の4つに大別できます。

 今回の改正内容については、建替え決議の多数決要件の緩和や団地内建物の一括建替え決議の多数決要件緩和など、建替え関係の多数決要件の見直しにマスコミなどでもとかく目が向きがちですが、管理組合にとって関係が深い、日常的な管理に関係する改正内容も数多く盛り込まれている点に注目していただきたいと思います。

 具体的には、管理に関する区分所有者の責務規定の新設、所在等不明の区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組みの新設、出席者の多数決による決議を可能とする仕組みの導入、共用部分の変更決議の多数決要件の緩和、区分所有者が国外にいる場合の国内管理人制度の新設、所有者不明専有部分管理制度の新設などです。専有部分の使用等を伴う共用部分の管理(配管の全面更新等)についても、集会の決議により実施できる仕組みの導入が盛り込まれています。

 これらの制度が実現すれば、マンションの管理面でもさまざまなことがよりスムーズに運ぶようになると考えられ、管理組合としても大きなメリットを享受できるものと期待されます。

 またマンションの再生に関しても、上に挙げた多数決要件緩和のほかにも、これまでは全員の合意がないと進められなかった、建物及び敷地の売却、建物を取り壊して敷地を売却するなどを一定の多数決で可能とする制度など、再生の取組みを円滑に進めることが可能になるような制度の新設なども盛り込まれています。建物のリノベーションについても、一定の多数決で可能とする仕組みの新設が盛り込まれています。

 新たに導入されるさまざまな仕組みについて、ここでの記述ではその名称のみを列挙したため分かりにくいと思いますが、具体的には法務省の法制審議会の次のサイトに詳しく掲載されていますので、参考にして下さい。

 https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00235.html

 この法制審議会のサイトには、区分所有法制部会のページの中に『「区分所有法制の見直しに関する要綱案」(令和6年1月16日開催決定)』として掲載されています。

 この要綱案は、今後2月中に法制審議会の総会が開かれて審議され、ここで了承されれば「要綱」となり、さらに検討が加えられて、正式な法律案として閣議決定されることになります。法律案は国会に提出されて審査を受け、両院で可決されれば法律として公布され、その後一定の周知期間を経て実際に施行されることとなります。この過程で今回決定された「要綱案」が修正されることもあり得るので、これが最終の姿とは言えないことにご注意いただきたいと思います。

 

 いずれにしても、管理組合の活動にも大きな影響を及ぼしうる内容を含んでおりますので、今後の動向に注意を払っていただければと思います。


マンション管理の適正化法と建替円滑化法の改正


老朽マンションの物理的な改善とマンション管理の適正化という、広い意味でのマンションの再生が、所有者・社会にとって重大な課題となっています。令和2年6月にマンション管理の適正化と建替円滑化法が改正され、2年後に施行されました。


マンションの管理の適正化の推進に関する法律及び

マンションの建替え等の円滑化の関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第62号)

【令和2年6月16日成立、6月24日公布】

 

法律の概要

〇マンション管理の適正化の推進

1.国による基本方針の策定(公布後2年以内の施行)

  国土交通大臣は、マンション管理の適正化の推進を図るための基本的な方針を策定

2.地方公共団体によるマンション管理適正化の推進(公布後2年以内の施行)

  地方公共団体による以下の措置を講じる

 ・マンション管理適正化推進計画制度…基本方針に基づき計画を作成

 ・管理計画認定制度…適切な管理計画を有するマンションを認定

 ・管理適正化のための指導‣助言等…必要に応じて管理組合に対して指導‣助言等

 

〇マンションの再生の円滑化の推進

1.除却の必要性に係る認定対象の拡充(公布後1年6か月以内施行)

  除却の必要性に係る認定対象に、現行の耐震性不足のものに加え、以下を追加

 ①外壁の剥落等により危害を生ずるおそれがあるマンション等

  ・4/5以上の同意によりマンション敷地売却を可能に

  ・建替時の容積率特例

 ②バリアフリー性能が確保されていないマンション等

  ・建替時の容積率特例

2.団地における敷地分割制度の創設(公布後2年以内施行)

  上記①等の要除却認定を受けた老朽化マンションを含む団地において、敷地共有者の4/5

   以上の同意によりマンション敷地の分割を可能とする制度を創設 

 


マンション管理・再生ポータルサイトのパンフレット



マンション管理センターのパンフレット



国土交通省のパンフレット


令和3年9月28日

「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」の策定について

 〜新たに開始されるマンション管理計画認定制度の認定基準などを定めます〜

国土交通省より次の通り公表されました