マンション管理で悩んでいることを解決したい。


質問1 管理組合の業務には、どのようなものがありますか。

質問2 管理組合と自治会とはどう違うのでしょうか。

質問3 管理費と修繕積立金の違いと金額の設定の仕方について説明してください。

質問4 管理費等の滞納を防止する手段について説明してください。

質問5 大規模修繕工事において調査・診断や修繕設計などを専門家に依頼するにはどうしたらよいですか。


財団法人マンション管理センターHPより抜粋しました。

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質問1 管理組合の業務には、どのようなものがありますか。

管理組合の主な業務としては、定期点検など共用部分の維持管理業務、総会の開催など管理運営業務、会計業務(管理費等の出納、予算及び決算)、事務処理業務(契約、管財・修繕計画、広報・調査、庶務)などが挙げられます。

 

解 説

管理組合の業務は、区分所有者の共同の利益の増進し、良好な住環境の確保を図るために、マンションの敷地や建物及び付属施設の管理を行うことです。これは、区分所有者間の利害を調整し、組合としての意志を決定し、決定事項を執行していくために必要な各般の事務を執行することです。 つまり管理組合は、敷地及び共用部分の取扱いのルール(管理規約)を区分所有者の集会(総会)によって決議し、あわせて、管理者(管理組合理事長)及び役員を選任してその業務にあたります。そのために、区分所有者は管理費、修繕積立金を管理組合に納入し、管理組合は必要に応じて第三者と委託契約を結ぶことにより業務を遂行します。

 

質問2 管理組合と自治会とはどう違うのでしょうか。

管理組合は法で定められた区分所有者が全員で構成する団体に相当しますが(区分所有法3条、標準管理規約6条)、自治会は地域住民の任意団体です。

 

解 説

管理組合は区分所有法第3条に規定された区分所有者の団体であり、管理対象物(マンションの敷地及び共用部分等)の維持管理を目的とした組織です(標準管理規約20条、30条)。これに対し自治会は、同じ地域に居住する住民のお互いの親睦を図るとともに地域生活の向上を目的とする自治組織です(ただし、管理組合の名称を○○自治会としている場合もありますので、その点は実態を確認する必要があります)。 居住者間の親睦を図り、コミュニティを形成してくことは、日常管理の円滑化に寄与することはもとより大規模修繕等を実施する際の合意形成に資するものであり、マンションの適正な管理の実現のためには重要ですが、管理組合が行うことが可能なコミュニティ活動は、自治会・町内会の活動とは異なり、あくまでも建物や敷地の管理の範囲内のものであることに注意が必要です。具体的には、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、管理費からの支出に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらせる活動がこれに該当すると考えられます。そこで、標準管理規約では、「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」を管理組合の業務として明記しているところです(標準管理規約32条12号)。

 

質問3 管理費と修繕積立金の違いと金額の設定の仕方について説明してください。

管理費は通常の管理を行うための経費にあてるためのもので、修繕積立金は計画修繕のために積み立てておく費用です。 また、管理費および修繕積立金(以下「管理費等」)は共有持分割合で負担することなどが、管理規約に定められています。

 

解 説

管理費は、通常の管理を行うために標準管理規約第27条に定める費用などにあてるためのものです。修繕積立金は、標準管理規約第28条に定めているように計画修繕や建替えを目的とした調査等の費用などに充当するために積み立てるものです。通常の管理に要するため1年毎に使う管理費とは、別に区分し経理しなければなりません。管理標準指針では、この区分経理について、標準管理規約と同趣旨の規定が置かれていることを標準的な対応としています。 また、標準管理規約第25条において管理費等の額は、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとしています。これは、議決権割合の設定方法について一戸一議決権や価値割合を採用する場合であっても変わりありません。共用部分の共有持分割合とは、専有部分の床面積の割合となり、広い住戸に住んでいる人は管理費等の負担金額が多くなるということです。これは区分所有法第19条に沿ったものですが、別段の定めをすることもできます。例えば各専有部分の床面積にほとんど差異がない場合、住戸の数に応じて算出することとしても差支えないとしています。なお、管理費等の負担割合を定めるに当っては、使用頻度は勘案されません(標準管理規約25条コメント)。

 

質問4 管理費等の滞納を防止する手段について説明してください。

滞納が引き起こされる要因は諸々あるのが現実ですので、 様々な手段を複合して対処する必要がありますが、以下に列挙します。

 

①滞納者リストを作成すること

②管理規約に、管理費等の支払い期日、支払い方法の定めを置くこと

③管理規約に、遅延損害金の定めを置くこと

④管理規約又は細則に、駐車場利用契約解除の定めを置くこと

⑤管理規約に、弁護士費用を請求できる旨の定めを置くこと

⑥管理規約又は細則に、滞納督促に係る定めを置くこと。

 

管理組合の役員は、1年等の任期で短期間に交代することが多いので、督促のルール等を定め、だれが役員になってもきちんと督促できるように管理規約や細則に明記しておくべきです。例えば、弁護士費用に関しても管理規約に違反する行為をした者に対して法的手段をとった場合には、その者に対して、管理組合が負担する弁護士費用その他実費全額を違約金として請求できるなどを規定することなどが考えられます。

 

解 説

滞納状況を把握するために、いろいろな手段を複合してとる必要がありますが、以下に列挙します。

 

①毎月収納状況を把握すること。なお、納入を自動振込み方式としておくと収納状況を把握するのに便利です。

②未納があった時点で、早めに未納事実を未納者に報告する。

③必要に応じて、面談をして未納理由などを把握しておくこと。

 

また、滞納原因については、大きく分けると、経済的な困窮(失業・失職、事業失敗、破産など)とそれ以外の理由(支払義務感の欠如、事実に対する誤解等)とが考えられます。滞納が生じた場合に、このように原因を調べることは大切なことだと考えられます。それは、その後の対応に大きく影響するからです。つまり、不満があるような場合にはその不満について話し合いをすることにより納得してもらい滞納金を支払ってもらえることもありうるからです。

 

質問5 大規模修繕工事において調査・診断や修繕設計などを専門家に依頼するにはどうしたらよいですか。

専門家から適正な見積りを提出してもらうためには、管理組合の意向を正確に伝える必要があります。このため管理組合内で委託する内容と条件を整理しなければなりません。内容や条件が整理できない場合は、事前に専門家のアドバイスを求めることも重要です。調査・診断や修繕設計(設計図、仕様書、数量計算書、工事費内訳書の作成等)は、専門家に依頼しますが、一般的に次の方法が採られます。

 

①設計監理方式:建築士事務所、管理会社等の専門家に、調査・診断、修繕設計、施工会社選定の助言、工事監理を委託し、施工は別途施工会社と契約する方式です。契約の手間はかかるが、施工を第三者がチェックするので管理組合としては安心して進められます。

②責任施工方式:調査・診断から修繕設計、施工までのすべてを1社の施工会社と契約する方式です。信頼できる施工会社の選定方法と工事監理の体制が課題となります。